靴ひもを結び、外に出ます。敷地を出たらすぐに南に向きます。行き止まりまで進んだら、180度回り、今度は北に向かい、自宅を通り過ぎます。通りの端にきたらすぐに西に向きを変え少し進んだらすぐに北に向かいます。次に今度は東に向いて少し進んでから南へ向きを変えて先の通りを右に曲がります。そのまま進んでから南に向きを変え、そのまま下って自宅を通過します。これをもう一度繰り返します。
私はこのように毎朝5キロのランニングをします。上でご紹介したコースは、近所の小学校を含むブロックを2周するコースです。このランニングでは、自宅から1キロ離れた地点が、最も遠いポイントです。
私はこのコースは何度も走っているので、このエリアを知り尽くしています。住宅街の通りに駐車が始まる時間、誰が仕事に行くかなども分かっています。ある意味私は、自分が走るブロックに関しては“スマート”だと言えます。
私のブロックをスマートシティブロックに
IoT(モノのインターネット)で接続された機器が広まるにつれて、私のブロックも、またその他の都市もより“スマート”になっていきます。なぜなら、IoT機器はネットワークに統合され、その結果、それぞれのデータをリアルタイムに収集、送信、及び処理できるようになるためです。そしてこれらが未来のスマートシティのインフラを支えます。スマートシティは、人々の生活を豊かにする様々なサービスにアクセスできるようにしてくれます。今回は、未来のスマートシティをより安全にするために、ブロックチェーンがどのように役立つかをご説明します。
スマートシティブロックをブロックチェーンに
スマートシティで汎用されるであろう技術のひとつにブロックチェーンが挙げられています。ブロックチェーンは、台帳データベースとして機能します。この台帳は、特定の種類のアカウントやデータの記録を電子的に収集し、解読が極めて困難な文字列にデジタルデータを変換する数学的暗号学的ハッシュ関数で生成されます。この暗号化データこそがブロックチェーンの鍵なのです。
ブロックチェーンの中核では分散型台帳技術が使用されます。これは、ビッグデータを収集・処理する集中型ソース(Google、Facebook、Amazonなど)に依存せず、システムのユーザー間で仮想的に分散されるものです(図1)。分散型台帳は、不正侵入者によるデータへのアクセスや、データの搾取、改ざん、破壊、不正操作、または漏洩を防いでくれます。ブロックチェーンがあれば、スマートシティデータを安全に取得及び管理することができ、悪意のある第三者に妨害されることはありません。例えばブロックチェーンは、送金、契約、取引、証書、投票、使用しているスマートエネルギー、スマート家電、健康記録、税金、及びその他の日常的な事を追跡することができます。
図1:ブロックチェーンのパブリック分散型台帳は、デジタル取引に対して最先端のサイバーセキュリティを採用しており、集中管理型の認証コードは必要ありません。(引用:Mouser Electronics)
ブロックチェーンの安全性と柔軟性
未来のスマートシティでは、ブロックチェーン方式の取引でデバイスIDを用い、IoT機器の安全性と柔軟性を実現させ、社会を支えます。ブロックチェーン内では、適切な認証向けに半導体を専用設計し、固有のIDを使って実資産を認証、取引の所有権を証明、また署名の検証をシームレスに実施、取引はブロックチェーン内に記録されていきます。
NXP Semiconductors のEdgeLock™ SE050 Plug & Trust セキュア・エレメントの製品群には、最新の攻撃シナリオから保護するための拡張Common Criteria EAL 6+セキュリティ認証が備わっています(図2)。IoT機器にすぐに使用できるこのセキュアエレメントは、ICレベルでルートオブトラストを提供し、エッジクラウドセキュリティ機能の権利が付与されます。セキュリティコードの書き込みは必要ありません。
図2:NXP Semiconductorsの EdgeLock™ SE050 Plug & Trust セキュア・エレメントは、悪意のある第三者による最新攻撃シナリオから保護するため、拡張Common Criteria EAL 6+セキュリティ認証を備えており、IoT機器にエッジクラウドセキュリティ機能の権利が付与されます。(引用:Mouser Electronics)
ブロックチェーンのアプリケーションには、高帯域幅のメモリデバイスが必要です。メモリおよびストレージソリューションに革新をもたらす業界リーダーのMicronが提供するグラフィックSDRAM(GDDR)を使用すれば、グラフィック処理に必要な機能と、高密度および高帯域幅が実現します(図3)。GDDRは、DDRよりも高温に強く、消費電力は低いです。さらにチャネルやバスの幅が広いため、1クロック周期あたりのデータ量もDDRより高いです。このデバイスのディスクリート設計によって統合が簡素化されるため、次世代高性能グラフィック・システムには最適です。ブロックチェーンシステムにはGDDRを採用し、セキュアハッシュアルゴリズム(SHA)で暗号化することでコンピューティングアプリケーションのパフォーマンスを上げます。
図3:Micron GDDRは高帯域幅のため、ブロックチェーンアプリケーションには最適なメモリです。(引用:Mouser Electronics)
まとめ
皆さんには私の自宅周辺を一緒に歩いていただき、ブロックチェーンの中核を成す分散型台帳技術について学んでもらいました。将来的には、ブロックチェーンによって、悪意のある第三者に妨害されることなくスマートシティデータを安全に取得・処理できるようになるでしょう。
今日はここまでです。さあ靴を脱いでリラックスしてください。お疲れさまでした。
私はこれからもずっと走り続けます。
今日はここまでです。さあ靴を脱いでリラックスしてください。お疲れさまでした。
私はこれからもずっと走り続けます。
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筆者
ポール・ゴラータ:2011年Mouser Electronicsに入社。シニアテクノロジースペシャリストとして、戦略的リーダーシップ、計画の実行、全体的な製品ライン、高度技術製品に関するマーケティング指導などを通じてMouserの実績に貢献している。また設計技師に電気工学の最新情報やトレンドを伝えるため、ユニークかつ貴重な技術コンテンツを配信し、Mouser Electronicsの理想的な企業としての地位強化にも貢献している。
Mouser Electronics以前は、Hughes Aircraft Company、Melles Griot、Piper Jaffray、Balzers Optics、JDSU、及びArrow Electronicsに勤務。製造、マーケティング、及び営業関連に従事した。DeVry Institute of Technology(イリノイ州シカゴ)にてBSEET(電気工学技術の理学士号)、Pepperdine University(カリフォルニア州マリブ)にてMBA(経営学修士号)、Southwestern Baptist Theological Seminary(テキサス州フォートワース)にてMDiv w/BL(神学及び聖書文学修士号)及びPhD(博士号)を取得。
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