2022年1月27日木曜日

【ニューテック・チューズデー】ソーラーカー開発向け代替エネルギーソリューション2製品を紹介

 

 

ニューテック・チューズデー

技術ジャーナリストのトミー・カミングスが毎週、設計エンジニアにとって興味ある「旬な」トピックを取り上げます。

 

エンジン車と同様、代替エネルギー車の動力源は、いつも安全性と信頼性が最大化するよう管理されている必要があります。

ソーラーカーも同じです。

ソーラーカー(SEV:ソーラー電気自動車)には、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)などの他の電気自動車と同じようなバッテリ管理システム(BMS)とスイッチングシステムが必要です。それでも今、ソーラーカーが話題を集めているのは、EVHEVが今後の自動車の主流になると言われながらも、バッテリー充電や走行距離などの面でドライバーの不安が依然として解消されていないからです。

その解決策として自動車開発者たちが着目したのが、太陽光発電です。太陽光を動力とするソーラーカーなら、同じバッテリで走行距離を伸ばすことができるはずです。

では、ソーラーカーの開発や太陽光発電アプリケーションの電力管理は、現在、どのような状況にあるのでしょうか。

ソーラーカーの開発は、かなり前から行われていました。米国テキサス州フォートワースで開催される「ソーラーカー・チャレンジ」をはじめとする、さまざまなソーラーカーレースの模樣を映像などで目にしたことのある方も多いかもしれません。ただし、製品化については、新興自動車メーカーや、テスラ、トヨタといった大手EVメーカーなどの数社がソーラーカーやそのハイブリッドモデルの開発を行ってはいますが、いずれもまだ市販にいたっていません。アプテラ社は、最近、開発中のソーラーカーの3度目にして最後のアルファ版を発表し、2022年に生産、納車を予定しています。同じく2022年に生産開始を予定しているテスラ社のCybertruckは、オプションでソーラーパネルを追加することができるので、走行中、駐車中を問わず、太陽光の充電が可能になります。アプテラもCybertruckも多くの太陽エネルギーを集めることができるよう、かなり型破りな車体デザインを採用しています。また、韓国の現代自動車(Hyundai)は、2020年、 ソーラールーフシステムを搭載した「ソナタ」のハイブリッドモデルを発表しました。このモデルはソーラーパネルとコントローラを搭載しており、車は発電して、バッテリに電気を貯めておくことができます。

現在のソーラーカーのデザインは、さながら車輪の付いたソーラーパネルといったところです。事実、太陽電池をパネルとして搭載したEV車なので、わざわざ停車しなくても充電が可能になります。開発者たちは今も、ソーラパネルを車のルーフやボンネットへ搭載し、パワーマネージメントシステムに効率よく接続するプロジェクトに取り組んでいます。この電力は調整され、モニタリングされる必要があります。

今週の「ニューテック・チューズデー」では、リテルヒューズ社とアナログ・デバイセズ社の自動車の電動化製品に注目したいと思います。

 



太陽光がある場所なら

設計エンジニアは、リテルヒューズ社のDCN大電流・高電圧DCコンタクタリレーを使用することで、高電圧リレースイッチングをさまざまな大電流・高電圧アプリケーションに組み込むことができます。この製品の代表的なアプリケーションには、電気自動車、EVHEV用の充電ステーション、電動フォークリフトなどがあります。高電圧リレーは、ソーラーパネルからの出力の切り替えを行い、太陽光発電の調整にも使用されます。リテルヒューズのリレーDCNシリーズは、30Aから500Aの連続電流と最大1800Vの電圧定格に対応します。また、取付方向には制約がなく、サイドマウント、ボトムマウントが可能です。

 

アナログ・デバイセズ社のLTC2949電流およびスタック電圧モニタICは、電気自動車やハイブリッド車、その他の絶縁型電流検出アプリケーションの電流、電圧、温度、充電、および電力を計測し、信頼性の高いバッテリ管理システムを実現します。主なパラメータを計測することで、バッテリスタック全体のリアルタイムの充電状態(SOC)と健全性(SOH)の計算に不可欠な項目を得ることができます。電流および電力の連続積分により、バッテリパックで供給または受信する充電と電力量を損失なく追跡できます。LTC2949は、複数のスタック監視のトポロジーと構成に容易に対応します。1%の電力量および充電精度を備え、ISO26262準拠システム用に設計されており、オートモーティブ・アプリケーション向けのAEC-Q100認定済みまさに次世代EV用バッテリ管理システムに欠かせない特長を備えたデバイスです。

今週のまとめ

ソーラーカーには、他の代替エネルギー関連プロジェクトと同様、バッテリ管理システム(BMS)とリレースイッチング機能が必須です。BMSは充電式バッテリー駆動システムには不可欠ですが、部品の設計と選定は慎重に検討することが大切です。ソーラーカーが開発段階から進歩し、市販されるようになれば、代替エネルギーソリューション向けの電動化製品がさらに登場してくることでしょう。

 

 

著者

トニー・カミングス

米国テキサス州在住のフリーランスライター兼編集者。ジャーナリスト歴は40年以上におよび、 現在、Texas Monthly誌、Oklahoma Todayにて執筆中。過去Dallas Morning News紙、Fort Worth Star-Telegram紙、San Francisco Chronicle紙などでの執筆経験を持つ。シリコンバレーのドットコム・ブームを取材し、様々なメディアでデジタルコンテンツやオーディエンスエンゲージメント編集に携わる。2018年から2021年までマウザー・エレクトロニクスにてテクニカルコンテンツプロダクトコンテンツ・スペシャリストとして勤務。

 

 

 

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